くちばしコンサルティング

経営戦略を実現する、運用しやすい人事制度構築が得意です。

働き方改革はECRSで進めよう

山本遼

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今までの2回のクラスで、皆さんには

「業務の棚卸」をし、「それぞれに年間何時間かかっているか」を計算して貰いました。

そして、「所用時間が長いものから手をつけると良い」という話をしました。


「まず効率化!」と思って働き方改革を始めた人たちと比べると、少しスタートが遅くなってしまっているように感じると思いますが、ここから一気に逆転することが出来ます。

今日実践して欲しいのは「ECRSの原則」というものです。これに従って業務を減らし、効率化していきます。

 

ECRSの原則を使うメリット

ECRSというのは、

Eliminate / Combine / Rearrange / Simplifyの頭文字で、
業務を

Eliminate(なくせないか)

Combine(何かとくっつけてしまえないか)

Rearrange(順番を変えてしまえないか)

Simplify(簡単にできないか) 

 という目線で確認し、減らすことを目的にしています。棚卸した全ての業務に対してECRSの順で問い掛けるわけです。具体的なやり方は以下の通りです。

 

Eliminate(なくせないか?)

「この業務は本当に要るか?」「削減できないか?」「周りが“念のため作っておいて”とか言ってるけど、誰が読んで何に使っているのか?」
と考えていきます。

最も効果の大きい方法でありながら、実行には結構勇気がいります。

そして、業務関係の前後関係を把握しておかなければ出来ません。しかし、意外と盲腸みたいになっている業務は多いです。前回のエントリで言った、実は誰も読んでいない資料とか、綺麗な社内資料とか。

本当に手の込んだ業績資料とかを一生懸命作っているのに、送付先は誰も読んでないし、そもそも会計知識が無くて理解出来ていないということがありました。
あと、大きい会社ならある「誰も使っていない福利厚生施設の管理業務」とかも削減対象にしやすいです。そもそも保養所の有無なんてモチベーションの向上にどれだけの効果を発揮するのか測定してもいないのに、「無いよりはあった方がいいよね」とか言って管理業務とかに月30万円とか払ってるわけです。減価償却費とか諸々含んだら幾らになるやら。


Combine(何かとくっつけてしまえないか)

次に、どうしても止めることが出来なさそうな業務については、「別の作業とくっつけてしまう」ということを検討しましょう。
webなどのシステムからアンケートを入力して貰うと「回答」と「システムへの入力」が同時に完了します。あとは、広島支店の顧客に会いに行くついでに広島支店のメンバーと面接するなどもこれにあたります。みんな無意識にやっていたりしますよね。議事録をプロジェクタで投影しながら会議を行なうというのも良いです。会議終了時点で自動的に議事録が完成する上、認識の相違があればその時点で解決されるので認識の違いもおきにくくなります。

 

Rearrange(順番を変えてしまえないか)

削減できないし、くっつけることも出来ないような業務については、順番を変えることでなんとかならないか検討しましょう。 

例えば、大阪で働く人が広島にも福岡にも出張に行かなければならない、というときは「大阪→広島→大阪、大阪→福岡→大阪」とはせず、「大阪→広島→福岡→大阪」とするようなイメージです。「会議に出席→議事録を誰が記載→回覧して確認」 ではなく、 「全員が予め議事を記載→会議に出席」 とするというのも良いと思います。文字を見ながら話し合えるので、議論も深まりやすいですし。

 

Simplify(簡単にできないか)

削減できない、くっつけられない、順番も変わらないけどやらなければならないような業務、これについては「より簡単なやり方はないか?」と考えます。例えば、メールの返信はテンプレ-トにする(「了解しました」 「ありがとうございます」 「よくある問合せの回答」は ”署名”として何種類も保存しておき、ワンクリックで返信する)とか、社内文書は過度にデザインに凝らない・テンプレ化すると言うようなことがこれにあたります。
「作業レベルのECR」だとも言えます。 より簡単なやり方を考えようということですね。

 

有能性の罠

人間には、“有能性のわな”という考え方のエラーが備わっています。 一度「何となく良いっぽい」と思えるものを見つけてしまうと、それ以上良いものを見つけることをサボってしまうようになるわけです。
「RPA!(ロボットによる業務効率化)」と言われると「RPA!効率化!素敵!」となって、 R・P・A!R・P・A!R・P・A!と、RPA信者になってしまいますが、やらなくて良いことはRPAする必要すら無いのに、それに気づけなくなるんですね。


また、RPAをするにしても、業務の流れをシンプルにした上でRPAすれば、より効率の良いRPAが出来ます。 RPAは素晴らしい方法論だと思いますが、どんな方法でも「その方法を使うことありき」で設計すると本来成し遂げたい結果からずれます。

 

 

今日のまとめ

今日はECRSだけ覚えて貰えばOKです。


まずは、棚卸した業務をECRSすることです。 書き方でも感じて貰えたと思いますが、ECRSは効果の高い順にE>C>R>Sになっています。 そのため、ともかくまずEから始めるわけです。 だって、どれだけ何かの業務とくっつけたって、そもそもやる意味の無い業務を続けていたのでは意味が無いからです。 「最初に効率化」を否定して、棚卸を皆さんにして貰ったのもこのためです。 効率化から始めると削減するという考え方がなくなってしまうからです。