くちばしコンサルティング

経営戦略を実現する、運用しやすい人事制度構築が得意です。

業務を削減したあとは、「作業」を減らす!(働き方改革無料セミナー第4回(全5回))

山本遼

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生産性向上の為の施策については本当にたくさんあります。しかし、生産性向上のテクニックはたった3つに集約することが出来ます

1.仕事を減らす
2.手待ち時間を減らす
3.作業を早くする 

 この3つしかないわけです。

「仕事を減らす」については、今まで説明してきたとおりです。棚卸をして業務単位でECRSを行なうということです。
「手待ち時間を減らす」というのはどうしても必要な業務のうち、生産に関わらない作業をとにかく減らすということです。

「作業を早くする」というのは、必要な作業をとにかく早く終わらせるということです。

 

今日は手待ち時間を減らすために必要な「無駄な時間の見つけ方」について考えていきましょう。

 

作業の分析手法 ワークサンプリング

手待ち時間を分析するために、参考になるのがワークサンプリング法というものです。 これは、業務に使っている時間を作業・余裕・非作業に分解するというものです。

 

作業というのは、直接的に製品やサービスの生産に使っている時間のことを指します。

余裕というのは、直接的に作業はしていないけれども、サボっているわけではないような時間のことを指します。

非作業というのは、生産的なことを行なっていない時間のことを指します。 例えば遅刻とか雑談とか喫煙とか。この行為自体は何も生み出していませんよね。

 

具体的には以下のようなイメージです。

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この区分を知らないで居ると、「会議を減らそう」とか「読みやすいマニュアルにして作業にスムーズに取りかかろう」とかいうことをまだらにしか思いつけないわけです。しかし、それぞれ必要になる打ち手は変わってきますよね。

まず、大原則として「主作業」の時間をどれだけ確保していくかと言うことが重要になります。つまり主作業以外の時間をどうやって無くすか、ということを考えるんです。 (ワークサンプリングにおける)余裕を減らし、準備段取り作業・付随作業を減らすということです。

 

作業の効率化

準備段取り作業

ホワイトカラーの仕事ならPCの立ち上げ・ソフトの立ち上げや頭の切り替えとかがこれにあたります。一つの仕事はまとめて一気にやってしまった方が良いと言われるのはそのためです。

A・B・Cの仕事をばらばらとやると、Aの頭になっていたのにBのことをしなければならず、やっとBの仕事の頭が出来た時にCの仕事の頭に切り替えなければならない・・・となります。マルチタスクは生産性の敵だと言われるのはこれが理由になります。
経費削減やー!といって、PCを再リース再々リースまで使っている企業とかもありますが、これはまあまあ時間のロスになっていたりします。人件費とPCのリース料、どっちが高いですか? 

 

超簡単な設備の入替と人件費との比較方法を紹介しておきます。

 残業が0なら、おおよそ「その人の額面×1.3÷2000」ぐらいが一時間あたりの人件費になります。(30%は会社負担分の社会保険料や退職金など。 月160時間として、12ヶ月で1920時間。諸々あって2000時間として想定。 細かな条件は会社によって違いがありすぎるので、労務担当者に聞いて調整してください。)これでいくと、年収600万円の人は一時間あたりのコストは3900円になります。これと設備によるロスを比較するんです。

新しいPCに変えたときに減る労働時間の年間合計×上記の一時間あたりのコストが、回収できる金額になります。

この計算方法は超粗いですが、従業員数が極端に多くないならばここの計算を極度に精緻に行なっている方がもったいないです。

(削減して得られるリターンより、削減に関して検討しているコストの方が大きいという。1円玉ビジネスとか呼んでいます。1円玉を作るのには1.2円のコストが掛かるからです)

 

付随作業

付随作業に関しては、ホワイトカラーの場合見分けが付かないことが多いです。 営業の方の場合は最終的に提案するのが主作業になるわけですが、そのためのヒアリングとか、資料作成なんかは実は付随作業であったりします。資料を作成するということだけで受注できるわけではなかったりするんですね。ただ、資料を事前送付した時点で既に受注が決まってしまうようなこともあります。自社にとっては何が主作業で何が付随作業かを考えることがポイントになります。要は自社にとって最終的に利益を出す行為は何か?ということを考えて、それに注力していくことがポイントなわけです。

 

余裕の効率化

作業余裕

作業余裕は、図面読みとか機械の調整や掃除とかがあたります。事務職とかだと作業内容の確認とか情報収集などでしょう。 マニュアルの作成や修正はここを短くする行為です。何をどうやってやればいいか判らない、という時間が多いときはここの削減は非常に役に立ちますが、実際はあんまり多くありません。

過去からのルーチン業務が多いような職種で、なんかちょっと読みにくいな、程度ならここに手をつける時間を取ること自体が無駄です。まして一年間掛けて目標に設定するような業務ではありません。

 

職場余裕

職場余裕は作業の管理のために必要な情報収集・情報共有・報連相とかを行なう時間です。ここは削減の余地が結構あります。情報共有のためのMTGなんかはメールでやってしまえば良いですし、打合せで一言も発することがないなら行かなくて良いわけです。いちいち帰社してから報告書を書かせるぐらいならdropboxだかevernoteだかサイボウズだか、なんなら客先に送るメールに上司CCで良いですよね。外勤なら帰社しなければ“事業場外みなし”で済むけど、帰ってきた瞬間から時間外労働の計算がスタートするんですから。

これは全てに関係してきますが、全ての業務に対して「本当に必要か?無くしたら何がどう変わるか?」ということを比較してみる必要がある訳です。

 

人的余裕は減らすべきか?

人的余裕を減らすべきか否かについてです。これは結論から言えば人的余裕は減らすのは難しい・むしろ無理矢理減らすとネガティブな効果の方が大きいです。例えばトイレに行きたがっている人を行かせず仕事をさせても効率なんか上がらないです。最近はポモドーロテクニック(25分仕事をして5分休む)なんてのも流行っているぐらいなので、こと知的労働に関しては旧来の考え方からすると多少取りすぎかなぁというぐらい取る方が良いとされています。

 


今日のまとめ

棚卸をして削減した業務に対してワークサンプリングで分析する。
主作業以外はどうやって減らすかを考える。