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本記事は上記連載の第5回です。
人事制度を作っていくときに、考慮するべき要素は様々あります。具体的にはどのようなフレームワークで考えていくか、ということになります。
人事におけるフレームワークというのは少し難しいですが、ラルフクリステンセンは「戦略人事マネジャー」という本において、戦略的人材マネジメントのフレームワークとして以下の5つを挙げています。
・学習と人材開発
・従業員との関係
・業績マネジメント
・組織開発
・要員プランと採用・配置
フレームワークなので、「上記の全てを押さえられていれば、概ね人材マネジメントをしていく上で考えこぼしは無いだろう」という指針になります。
本ブログも基本的にこの考え方に沿っていますが、いきなり上記全てを満たす制度を作ろうと意気込んでしまうと途中で挫折してしまいかねません。そのため、人事制度を作るときの要素、つまり人事制度を改定することで実現したいゴールとして以下の3つを提唱します。
人事制度を考えるときにまず把握するのは
人の質 と 人の量 と 制約条件です。
質の観点
質とは、例えば「どれぐらいの成果を挙げられる人が欲しいのか」「どんな能力がある人が良いのか」「どんな行動を取れる人が良いのか」
もっと具体的に言ってしまうと「いくら売れる人が良いのか」とか「ミスがどれぐらい以下で、スピードはどれぐらいなのか」などの能力レベルのことを指します。
量の観点
量とは、何人欲しいのか ということになります。 事業や機能ごとに分けて考えても構いません。
まとめると、どんな人が何人欲しいの?ということを制度のゴールとして設定しておいてあげるわけです。
追加で制約条件も考慮しておく
また、制約条件も判っているならリストアップしておくとよいでしょう。
制約条件になってくるのは、
・短期的な事業ニーズや人件費の制約
・法律上の制約
・組織風土による制約
・期間
など。
どれだけクリエイティブ業務にシフトしたいと言っていても、直近で利益を上げることが出来ない企業では「まずは本業で利益を出せるように改革すること」の方が優先されます。
従業員を管理職にしたくない・裁量も与えたくない だけど無限に働かせたいと言っても法律がそれを許しません。
また、組織風土的に「ミスを許さない」組織ならきっとチャレンジをしようという制度を作っても上手く行かないでしょう。「年功序列でなければならない」ということを人事以外の従業員全員が思っている組織で、成果給を入れようもんなら大反対が起こること必至です。
どうやってどんなゴールにたどり着けば良いか、ということを明らかにしていってあげることが必要になるわけですね。