くちばしコンサルティング

経営戦略を実現する、運用しやすい人事制度構築が得意です。

SVやAM一人当たりの受け持ち店舗数は何件が妥当?

山本遼

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 飲食店や小売業など、一つの店舗での売上に上限のあるような業態の場合、店舗数を増やすことが求められます。そこで一般的になるのがSV(スーパーバイザー)、AM(エリアマネジャー)等の設定です。企業によってそれぞれの呼ばれ方は異なりますが、直接目が届かない店舗に対して、個別店舗の経営の監督やコンサルティング、事業の支援や本社企画の販促ツールの配送といったことを目的に設定される役割ですが、その役割自体が利益を生むわけではないので、人数を多くし過ぎないことも求められます。
 では、SVやAM1人が受け持つ店舗数を決定する為の根拠はあるのでしょうか?

 

一般的な担当数は7-8件

 一般的な担当数は一人当たり7-8件程度と考えられます。(業態・個社事情により差異あり。後述)これは、各店舗に週1で訪問し店舗に訪問後2-3時間の業務を行う・本社⇔店舗間の移動時間が1時間程度であるという前提で計算されています。店舗での業務時間が2.5時間/件×7件で週18時間、移動が同様に15-20時間、本社での作業時間に10-20時間を確保するという計算です。これがベースとなります。

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一人当たりの店舗数を減らすべきとき

 以下に該当する時は、SVによるきめ細かな対応が必要になるため、受け持つ店舗数を減らすことが求められるでしょう。

①店舗運営ルールや製品が複雑 

 店舗運営上独特のルールを持っている(特に高級店など)場合や、新しい製品が沢山出たり、製品特徴を理解するのに時間を要したり、法的な制約を考慮する必要があったり、というような場合、一人当たりの店舗数は少なくすることが求められます。SV自身が学習する時間を長くする必要があったり、店舗での滞在時間を長くする必要が出てきたりするからです。

②業務システムが整備されていない 

 発注情報管理や、個別店舗の経営状況を管理するための方法やシステム導入が未整備な場合、経営管理に時間を要するため、店舗でのSVの滞在時間を長めに見積もることが必要となります。


③店長の管理能力が高くない 

 個別店を任される店長の経営管理能力が高くない場合、SVが丁寧に指導を行う必要が出てくる為、店舗でのSVの滞在時間を長めに見積もることが必要となります。(一般的なSV以外に、新規出店者のフォローのための専属の担当者を置いているケースも見られます)
④店舗間の物理的な距離が離れている。
 地方拠点でよく見られますが、店舗間の距離が離れすぎているために、SVが回ろうにも物理的に無理だということはよくあります。その場合はSVの増加が求められます。

 

一人当たりの店舗数を増やすべきとき

 以下に該当する時は、SV一人で沢山の店舗を見るよう求められます。


①店舗の粗利水準が低いとき

 基本的にSVは販管費的な存在となる為、店舗の粗利水準が低い場合SVを増やすことは難しくなるでしょう。
 ※フランチャイズビジネスの場合で店舗から得るフィーが少ない場合などもこれに当たります。


②SV一人当たりの人件費が高いとき 

 様々な事情で、SV自身の人件費が高くなってしまっている企業があります。この場合も、一人で多くの店舗を担当させなければ収支が合わないため、多くの店舗を担当して貰う必要があります。

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 このような観点で、自社の管理状況を確認してみてはいかがでしょうか。意外な気づきがあるかもしれませんよ。